発達障害ユーの人生逆転ブログ

ADHDと診断されたユーが、研究挫折・就活失敗・うつ発症から、人生を逆転させる知恵を広めるブログ。うつ脱出、実用本の解説、ライフハック、研究室生活についての情報を伝えていきます。毎週土曜の朝6時に更新+不定期更新。

研究室でうつになった理由 〜研究が辛くて死にたいと思った〜

三行早見

  • 研究はストレスフルな労働
  • 将来の不透明さ
  • 閉鎖的な人間関係と精神攻撃

 

 私は元々、大学を博士まで進学する予定で、将来は分子生物学の研究者になることを目指していました。しかし、大学4年生での研究生活の結果うつになり、今は研究者への夢を捨てて、平穏無事に暮らしています。この記事では、多くの研究室に当てはまるであろう、私が研究を通してうつになった理由をご紹介します。研究によるうつ誘発の要因は、研究のストレスフルな性質、将来の不透明さ、閉鎖的な人間関係と精神攻撃、にまとめられます。

 

研究はストレスフルな労働

 研究は、そもそもストレスフルな労働以外の何物でもありません。こちらの記事でまとめた通り、研究は、未経験の試行錯誤を必要とし、長時間労働で、結果はいつ出るか分からず、結果が出ないと卒業できないという重圧を課してきます。大抵の大学生がこれに耐えるというのは、むしろ驚嘆に値します。そして、一部の大学生や大学院生が、これに耐えかねて消えていくのは、至極当たり前に感じます。

 私の場合は、研究に関する試行錯誤が極めて難しかったと感じます。これは、教育システムがなかったことと、知識・経験不足が原因と考えています。私はいわゆる「放置系ブラック研究室」に所属しており、先生による教育がほとんどありませんでした。(先輩はいませんでした。)「分子進化加速器を大腸菌を用いて作れ」という、博士レベルの研究テーマを丸投げされ、背景知識や利用するサンプルの情報なども、ほとんど先生から教えてもらうことがありませんでした。もちろん、ある程度知識があるものに関しては、私も試行錯誤をする能力はあります。しかし、研究に関しては(英語は超得意で、大学3年までの生物学は完璧に頭に叩き込んでいましたが)知識不足・経験不足で、何から手をつけていいのかさっぱり分からないという状態が続きました。

 また、長時間労働・結果が出ない・このままだと卒業できないという重圧、これらにもずっと苦しめられていました。この辺りは、大抵の研究室でも同じような話を聞きます。

 このようなストレスフルな環境に身を置きつつ、将来の自分の人生を考えると、アカデミックな世界特有の不透明さに、さらに憂鬱さが増していきました。

 

将来の不透明さ

 アカデミックの世界では、人生の先行きが極めて不透明です。むしろ、結果を出せなかったり、能力が足りないと、高学歴ワーキングプアに成り下がるリスクが大きすぎると言えるでしょう。なぜなら、修士・博士で収入はマイナス、競争は極めて激しく、淘汰された場合の救済措置が皆無だからです。(詳しくはこちらの記事をご参照ください。)

 将来を考えると、例えば、ある程度収入が欲しい、やりがいのある仕事をしたい、趣味の時間を取りたい、結婚して子供が何人欲しい、など色々な希望があると思います。しかし、アカデミックの世界でポストを獲得するためには、それらを二の次にして、ひたすら研究に打ち込んで結果を出す必要があると感じます。ポストを獲得するまで、長い時間と労力が必要で、それまで他のことを考える時間も余裕もない。しかも、どこかで失敗したら潰しが利かない。

 そこで私は思いました。「そんな人生は嫌だ」と。

 この、先行き不透明な状況に悶々としていた自分の精神に、さらにダメージを与え続けたのが、閉鎖的な人間関係における精神攻撃でした。

 

閉鎖的な人間関係と精神攻撃

 研究室は閉鎖的な人間関係を形成しがちですが、私のいた研究室はかなり極端で、精神攻撃を受け続けていました。構成メンバーは、先生、博士4年の外国人、学部4年の同期、そして学部4年の私の4名でした。

 まず、先生は、間違いなくサイコパスでした。どう考えても博士レベルの研究テーマを学部生に投げつけて、ろくに指導をせず、それでいて困っている私に「なぜ実験をしないのか」とプレッシャーをかけ続けてきました。彼の価値基準は一貫して「実験結果を出せるか否か」で、結果を満足に出せていない当時の自分を「君は研究者に向いていない」と一蹴して、研究者になるという夢と目標を叩き潰しました。そしてその後もずっと「研究者に向いていない未熟者」扱いを続けて精神をえぐってきました。諸々の精神攻撃でうつを発症した際は、「研究室生活で精神的に追い詰められて死にたくなったので休みたい」という旨を連絡したら、流石に休むことを許可してくれました。しかし、なんとか動ける程度まで精神状態が回復し、研究室に復帰した際、「薬を飲んでるんだからもう大丈夫でしょ」という言葉を聞いた時の絶望感たるや。うつやADHDなどの精神疾患に理解のない人間は、こういうものなのだと勉強になりました。

 次に、博士4年の外国人。この人は週に1回程度しか研究室に来なかったので、実験を教えてもらったことが数回しかありません。特に指導もなく、研究室でも雑談するだけで、毒にも薬にもならなかった感じです。(まあ、雑談でリラックスできたので良かったです。英語の訓練にもなりましたし。)

 最後に、同期の学部4年生。彼女は極めて優秀で、勉強という面でも、研究という面でも遺憾無くその才覚を発揮していました。私と同じテーマを与えられたにも関わらず、一人で論文を調べ上げ、実験を構築して結果を出すということを、学部4年にしてやってのけていました。それと同時に、私の実験教育も行ってくれたのですが、ここに研究室の問題点がありました。研究テーマが重複しているため、基本的に実験は全部彼女が行い、簡易な操作以外では、私はずっと見取り稽古しかさせてもらえませんでした。(その際、先生が「なぜ君は自分で手を動かして実験しないのか」と、実験をバリバリやってる超優秀な同期に比べて、何も実験をやっていない劣った私へ喝を入れてきたのは言うまでもありません。)そして、なんとか実験を覚えて、一人で実験を構築できるようになっても、彼女自身の優秀さからくる完璧主義からか「実験においてつまらないミスは絶対に許さない」というプレッシャーを常にかけ続けてきました。実験の度に、ミスをしないようにと、ピペットを持つ私の手が震えていたのを覚えています。

 同期の悪口みたいになってしまいましたが、厳しい指導は、きっと彼女なりの研究への熱意やこだわりからのものであったことは理解しています。単に、研究というものに私が向いていなかっただけなのでしょう。そして、研究室では、雑談の時間や、先生からの精神攻撃に関する相談、うつの時の励ましなどで、彼女にいかに救われたことか。実験技術的にも、精神的にも、間違いなく彼女のおかげで、私は大学を卒業することができました。深く深く感謝しています。そして、私は、彼女のような人間こそ、真に大学で学び、研究者となり、世界を変える発見をする人だと固く信じています。

 さて、私の研究室の人間模様を述べました。かなり具体的になってしまいましたが、閉鎖的な研究室環境の一例を示せれば幸いです。余談ですが、学部4年で卒業後に、大手外資系IT会社に入社した友人も、「教授が本当にサイコパスだった」と語っていました。教授陣の価値判断は「実験結果を出せるか否か」に尽きると思います。その価値基準に離反すると、私のように精神攻撃を受け続けるという事案が発生するでしょう。

 

まとめ

 研究はストレスフルな労働で、アカデミックな道の将来は極めて不透明です。また、研究室の人間関係は閉鎖的になりやすく、精神攻撃を受けることもあります。

 どうか、研究で精神をやられないように注意してください。そして、もし精神をやられて死にたくなったら、いますぐ研究室を休むという選択を取り、可能なら心療内科で抗うつ剤を処方してもらってください。脳が負の思考回路にはまると、自力で抜け出すことは困難です。その時には、十分な休養と、薬に頼ることが必要です。あなたには生きている価値がある。どうか休んでください。

 そして、少しでも動けるなら、運動によって脳の膠着状態を打開する策を是非取ってください。劇的に回復できます。とりあえず、外に出て陽の光を浴びながら、散歩でもしてみませんか。とても気持ちいいですよ。(詳しくはこちらの記事をご参照ください。運動がうつに効くという根拠です。)