三行早見
- 研究とは、大抵の人が未経験の、未知に対する試行錯誤である
- 研究は長時間労働
- 結果が出ない!しかも、あまりに出ないと全部パアになる
大学4年生になると、理系の方々は(あるいは文系の方々も?)卒業研究を始めますよね。
研究を1年間行なって実感したことは、大抵の人間にとって研究はストレスフルな労働だということです。
なぜなら、研究は、今までに経験のない試行錯誤の過程であり、往々にして長時間労働になり、いつ結果が出るか分からず、結果が出ないと全てがパアになるからです。
研究とは、大抵の人が未経験の、未知に対する試行錯誤である
まず、研究とは何か。
研究とは、未知の事柄に対して、実験や理論などをもとに、自分なりに説明や解決策を試行錯誤していくプロセスです。
分かりやすく例えれば、ノーベル賞を受賞した山中教授のiPS細胞。
「どうやったら体の細胞から、受精卵みたいに何にでもなれる細胞を作れるかな」というのを、自分なりに考えて試行錯誤してみた。
その結果、iPS細胞を開発できた、という感じですかね。
さて、この「試行錯誤」は多くの大学生には向いていないのではないかと思います。
なぜなら、小学校〜大学入試、あるいは大学入学以降も、ずっと求められてきたのは「授業でやった内容をインプットして解答用紙に吐き出す」能力です。
これは、研究で求められる「答えの分からない問題を考える」という能力とは別物です。
訓練をろくに積んでいない、答えの分からない問題に対する戦いを、大学4年生でいきなり強いられるわけです。
従って、一定数の人が挫折するのは当たり前でしょう。
ちなみに私の与えられた研究テーマは「分子進化加速器を大腸菌を用いて作れ」という抽象的なもので、具体的な指示は僅かしか与えられませんでした。
思考の枠組みも経験値も未熟だった4年生の私は、何をやっていいのかさっぱり分からず、論文を読みまくっては悶々と頭を悩ませて、試行錯誤以前に手詰まりでした。
試行錯誤のやり方がよく分からないままに、研究をしろと言われても無理な話です。
その上、研究は過酷な長時間労働を強いてくるのです。
研究は長時間労働
研究は、実験系の研究室においては長時間労働になりがちです。
これはもはや、大学という世界では一般常識で、しばらく改善されることはないでしょう。
よく聞きませんか?
朝から晩まで研究室にこもって試料の分析やってたとか、二徹して化合物作ったとか。
それ、研究室的には美談かもしれませんが、身体への負荷が大きいだけです。
ただの労働基準法違反です(学生なので適用されませんが)。
私の研究室では、10時〜18時まで研究室にいればいいというユルめな感じでした。
しかし、当然それでは結果が出せないので、8時〜22時とかで実験をやっていました。
先生からは「僕の若い頃は徹夜とかも当たり前だったから、その日に帰る時点ではまだ頑張りが足りないね」と意味の分からないことを言われましたが。
さて、ここまで時間を使って、疲労困憊になりながらも、結果がいつ出るか全然読めないのが、研究の恐ろしいところです。
結果が出ない!しかも、あまりに出ないと全部パアになる
研究はいつ結果が出るかさっぱり分からない代物です。
例えば、超絶優秀だった同期は、半年間実験を頑張って、結果をたった1個しか出せず、残りは全て失敗でした。
これはまだいいほうかもしれません。数年がかりで行なう研究も多数あり、研究においては成果が出て報われることは滅多にありません。
加えて、研究では結果が出ないと全てがパアになります。
どれくらいパアになるか?
学生は卒業ができません。友人に、結果が出せずに4年生をもう一度やっている人がいます。
あるいは、同じ研究室に、結果が出せずに博士4年に突入した人がいました。
また、もっと結果が出ないとどうなるか?
学生・教員どちらも消えます。
博士課程の友人は、ある日ひっそりと大学から姿を消しました。
また、知り合いの助教授は、姿を見なくなってしばらく経ったら、研究室の名簿から消えていました。
研究は、いつ結果が出るか分からず、基本的に報われません。
そして、結果を出せない場合は、学歴も職も失うことになります。
まとめ
研究は、今までにない試行錯誤の過程であり、長時間労働を強いられ、結果がいつ出るか予測不能、しかも結果が出ないと全てを失うという、ストレスフルな性質を合わせ持っています。
大学で研究の道を突き進むのであれば、これらに堪える耐性と、研究者としての能力があるかをよく考えてください。
本当にその道に進むべきかを慎重に考えてから、決断してください。
あまりよく考えずに修士や博士へ進むと、人生のダークサイドに堕ちることになりますよ。
(その理由は、こちらの記事をご一読ください)。