三行早見
- うつは冬眠と同じ
- うつの最中は脳が死んでいき、思考力も希望もなくなる
- うつから抜け出すには?運動せよ!
うつは冬眠と同じ
うつ病って、マイナスな気分になることは皆知っていますが、幅広すぎて捉えどころがない感じがしませんか?
この本では、脳科学者がうつの仕組みを解説しています。
その中でも分かりやすかった例えが、うつとは冬眠であるという話です。
つまりうつとは、
「今は慢性的な強いストレスにさらされた状態(=資源を得られる希望のない冬)にいる。状況が改善するまで、動かずにじっと冬眠していよう」
ということなのです。
本文を引用すると、次の通りです。
うつとは、希望がまったくない環境で資源を保存しようとする生存本能だ…(中略)…おとなしくして危険に近づかないようにするためにそういう状態になるのだ
例えば、「私は何もできない。しょんぼり。」として洞窟の奥にこもっている人の方が、「ヒャッハー!俺はなんでもできるぜぇ!」と、雪原に繰り出して凍死する人より生存確率が上がりますよね。
このように、冬眠という生存戦略は、やがて来る春を待つためには有効です。
春になったらまた食物を取りに出るだけのエネルギーが残っていればいいわけですから。
しかし、ストレス社会にさらされた人間はそういうものではありませんよね。
残酷にも、本文ではこう続きます。
ただし、往々にしてその冬は一シーズンでは終わらない
終わらない冬を冬眠して過ごしている間、我々の脳は著しい悪循環に陥っていきます。
うつの最中は脳が死んでいき、思考力も希望もなくなる
うつで動けなくなっている最中には、脳が深刻なダメージを受けていきます。
まず、慢性的なストレスによって、脳はストレス応答のための神経回路ばかりを発達させ、他の神経回路は遮断していきます。
すると、脳は同じパターンにはまり続け、それ以外の思考が物理的にできなくなります。
つまり、マイナス思考、自己否定、ひきこもりといった症状から抜け出せなくなります。
そして、希望的観測はおろか、学習や思考そのものが出来なくなります。
(私が、うつの最中に希望的な言葉をいくら聞かされても、毛ほども心に響かなかったのは、これが原因なのでしょう。)
つまり、マイナス以外のことが何も考えられない状態に、脳の構造が変化してしまうということです。
さらに厄介なことに、遮断された神経回路の細胞は、時間が経つとともにどんどん死んでいきます。
これは、プラス思考や自己肯定感に関わっていた細胞がどんどん死んでいき、マイナス思考や自己否定感に関わる細胞ばかりが生き延びていくことを意味しています。
これが続くとどうなるか、もうお分かりですよね。
DSM-5によるうつ病の基準は、抑うつ気分・興味や喜びの減少・精神的焦燥・気力減退・無価値観や自己否定・思考力の減少・自殺についての思考などです。
うつが続くと、このようなマイナスのことばかりを考え続け、いつまでも抜け出せず、脳の機能がどんどん低下していくという悪循環が続いていきます。
うつから抜け出すには?運動せよ!
ではうつになったら抜け出すのは無理なのか?
いいえ、抜け出せます。
どうするか?
とにかく運動するのです。
「脳筋じゃねえか!」と思った方が多数でしょう。
しかし、れっきとした科学的根拠が存在するのです。
運動をすると、脳が再生します。
詳しくは前の記事に書いた通りなのですが、具体的には、新たな脳細胞を作り、脳細胞同士の新たな結合を作り強化する効果があり、これはうつの最中にも有効です。
再生した脳は、プラス思考や、現状を打破する方法論などを考える能力を再び獲得できます。
さらに、運動によってもたらされる、脳内物質のバランスが、脳の状態を最適に保ち、不安が減少し、気分が高揚し、明るい未来が見えるようになっていきます。
運動が、脳をうつの思考回路から脱出させてくれるのです。
まとめ
うつは終わらない冬眠で、うつの最中は脳が死んでいきます。
その強力な解決策が運動なのです。
この記事を読んでいる方、きっとうつで苦しんでいるのではないですか?
もうネットしかできないくらい憔悴しているのではないですか?
そうしてこの記事にたどり着いたんじゃないですか?
私もそうでした。
そして私は、運動で驚異的に回復しました。
だからあなたもそうなってほしい。
黒い霧が立ち込めた世界から、物理的に抜け出してほしいのです。

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